麺関連のウンチク

【麺:小麦】

麺は基本的には、小麦粉・水・かん水・塩をベースに各種添加物が合わさって作られる。この組み合わせで様々なタイプの麺ができる。食品安全面を考えると国産の小麦粉が一番だが、国内産小麦は約8%、残り92%は輸入でまかなわれていることを考えると外国産を使用するのもしょうがないか。なるべく殺虫剤や防カビ剤が使用されていないものが使われていることを望む。そんな中、佐野ラーメンは、その土地が小麦粉の産地であり、その国産の小麦粉を使用した手打ち麺であることがウリである。また「むつみ屋」、「支那そばや」は、国産の強力粉では代表品種の「ハルユタカ」を使用している。珍しいところでは「支那そばや」はイタリアのナポリ地方のデュラム粉と「スーパーハルユタカ」をブレンドした麺をラー博で出している。
硬質小麦
 
タンパク質を多く含んだ小麦で、粒が硬く、主に強力粉に加工され、パンや中華麺用の小麦粉になる。アメリカ産とカナダ産が主となる。
国内産では「ハルユタカ」が有名。

またその特徴を引き継ぐ次世代の「春よ恋」も最近出ている。
軟質小麦 タンパク質の含有量が少ない小麦で、粒は柔らかく、主に薄力粉に加工され、クッキー・ケーキなどの菓子類や天ぷら用の小麦粉になる。主にアメリカ産。
中間質小麦
 
たんぱく質の含有量は中くらいで、粒の硬さも中程度で、主に中力粉に加工され、うどんや乾麺用の小麦粉になる。オーストラリア産と国内産が主となる。
デュラム・
セモリナ

 
マカロニ類に用いる特殊な粉。
(セモリナ粉)
上記は、品質特性(用途別)による分類であるが、品位特性(等級別)による分類を行うと、特等粉、一等粉、二等粉と分けられる。これは、小麦粉の純度(皮部細片の混入度)による分け方である。ややソフトな食感の麺にする為、準強力粉を使う店や準強力粉の代わりに強力粉と薄力粉を混ぜて使う店も少なくない。一方、薄力粉はコシが出ないので使う店は少ないが手打ちのラーメンのような場合は強力粉だと切れてしまうので薄力粉を使用する。こうした小麦粉を使いブレンドしたり微妙な使い方を研究したりすることでも麺に特徴が出せるようになる。
【中華麺】 小麦粉、かん水、水などの材料を使って作られた麺。麺の種類は主に太さ、コシ、縮れ具合で分別される。太さはメーカーで番号で区別しており、番号は30cmの幅を何本に切断するかによって決まる。たとえば30番とは1cmの幅に切るものである。コシや縮れ具体は主にかん水によって決まる。加水率が低いと固くストレート、多いと柔らかく縮れやすい。麺の種類はスープとの絡みと大きく関係し、一般にあっさりしたスープにはスープをすくうように縮れ麺で、こってりスープには絡む具合を抑制するためにストレートを使うことが多い。
【玉子麺】 麺を作る際にカン水を使用しないか、ごく微量にし、つなぎに玉子を使用したもの。麺自体に味がついているため、食べやすい。また麺の表面がゴワゴワし、スープにからみやすい。個人的には好みではない。
中華麺作りではカン水や塩に加えて卵も使用することがある。卵を使用する目的は卵黄に含まれるカロチンやキサントフィルなどの色素によって麺に黄色く色を付ける働きを利用することである。ただ、それ以上に出来上った麺に弾力を持たせる目的の方が大きい。 麺に弾力をもたらすのは卵白の部分の働きが大きい。卵白の成分はほとんど(乾燥物中で82%)がタンパク質でこのタンパク質が小麦粉のタンパク質と絡まって強いコシと弾力を実現する。この事から高級中華料理の麺料理ではカン水を使わず卵と水だけで打ったシコシコ感の強い麺を使うことも多い。 これを全蛋麺(ぜんたんめん)と言い、歯触りよく仕上げた極細乾麺であるので、さっと湯にくぐらせあっさりスープで食べるのが良い。。また黄卵の部分には脂溶性のビタミンA・D・Eが多く含まれており栄養価も高い。但し、卵を使うと生麺状態では日持ちがしない上、独得の風味が麺に付きこの風味を嫌う人もいるので注意が必要。
西山製麺(株)(北海道札幌市白石区平和通16丁目南1-1 011-863-1336)
北海道を代表する老舗製麺所。勿論トップシェアである。その昔、「だるま軒」の製麺部門を独立させた西山孝之氏は様々なラーメン店と共同で麺の研究を重ね、のどごしが良く見た目もきれいな、太めで縮れた黄色い玉子麺を作り上げる。この麺が札幌ラーメンのデファクトスタンダードとなる。生ラーメンをお土産用に売り出したのもこの生麺所が元祖と言われている。
【自家製麺】 ラーメン屋さん自身で作る麺のこと。製麺機を置いてあったり、手打ちで麺を打つ場合もある。それだけでこだわりを感じてしまう。
【多加水麺】 加水率の高い麺で柔らかくのびにくい。喜多方ラーメンが有名。
【縮れ麺】 一人前の分量に生地を切り分けた麺に手揉みを加えて縮れさせた麺。麺入れの前に店主が丁寧に手揉みを加える姿は感銘する。
【卵白粉】 鶏卵の卵白部分を粉末にしたもの。麺のはぎれをよくし、つるつる感をだす。また茹でのびを抑える効果もある。
【塩】 中華麺を打つ時に加える塩は味付けが目的ではなく塩の持つタンパク質溶解作用を利用してグルテンを形成するのが目的。
【アシ】 「のび」のこと。麺線を引っ張った時、グーンと伸びるような麺の時に「アシのある麺」と表現する。「しなやかさ」とも表現できる。「アシ」はグルテンを形成する小麦蛋白のグリアジンが作用している。
【コシ】 「弾力性」のこと。「コシ」はグルテンを形成する小麦蛋白のグルテニンが作用している。小麦粉の種類によりコシの強さに差が出る。小麦粉中のタンパク質でその量が多い程コシの強い麺ができることになる。小麦粉はタンパク質の多い順に、強力粉、中力粉、薄力粉となる。普通、薄力粉ではコシが弱すぎてしまうので強力粉を主体に使用する。
【グルテン】 小麦粉に水を加え、ミキシングすると小麦粉中のタンパク質(グルテニン、グリアジン)により、グルテンが形成される。これは、ネバネバした物質でラーメンのシコシコした歯応えは、この働きによるもの。
【湯切り】 麺を茹でた後、ザルなどで水分を落とす事。
【鹹水】
(かんすい)
小麦粉を原料としているもので、パスタ・うどんがある。鹹水という炭酸カリウムやリン酸ナトリウム、またはカリウム塩などを配合したアルカリ性の化学成分の溶液を小麦粉に混ぜて作った麺がラーメンの麺になる。これによりラーメン独特の黄色い色、コシと風味が生まれる。最近は中国内モンゴル産自然鹹水がはやり。鹹水は体に悪いと言われているが、ワンタンの皮や饅頭などに比べればラーメンの場合微々たるもの。また食品衛生法が改定(昭和32年)される前までは工業用の苛性ソーダ・珪酸ソーダ・洗濯ソーダ等の粗悪品がかんすいの原料として使われていたことが問題となっていた。
【加水率】 麺に含まれる水分の割合。小麦粉100に対する水の比率である。一般的に低いほどスープを吸収するためのびやすく、高いほど柔らかい。35%位が目安)が多くなるほど塊は大きくなる。特に加水率で、麺の形状・触感を左右する。加水率が低いと、弾力のないストレート麺になる。
【練水】
(ねりみず)
鹹水に食塩、ビタミンB2(着色料)、水などを加えた液体のこと。小麦粉と捏ね合わせるとめん塊となる。麺は、黄色がおいしい色とされているため、小麦粉にかんすいを入れるだけで小麦粉の中のフラボノイド色素と反応して黄色くなるが、あまり綺麗でないのでたまごの黄味を使用していた。しかし保存の問題から現在は、ビタミンB2を使用されるようになってる。札幌ラーメンも例外ではなく、おいしそうに見せるため、ビタミンB2で麺の色を調整していると言われている。
【ボーメ度】 かんすいの濃度は「ボーメ度」が使用されている。自家製麺の場合、水に対して液体かんすいの比重がボーメ度6ぐらい。
(塩水選種計)
【麺の打ち方】 手打ち麺の麺の打ち方にはいくつかの種類がある。一般的には、両手で引っ張りながら伸ばしていく打ち方と綿棒で延ばす打ち方があり、その他以下の方法がある。
【青竹打ち】 佐野ラーメンで有名。練った小麦粉を打ち台の上にのせ長くて太い孟宗竹という青竹にまたがり、リズムよく前後に移動しながら伸ばしていく製麺技法のこと。麺の中に気泡(空気)が数多く残るため、気泡がスポンジの中のクッションのような役割を果たしその反発力が麺のコシになる。またその気泡のおかげで熱伝導がよく、茹で時間も少なくてすむ。(45〜60秒)なお、鶴里佐野ラーメンは青竹打ちにいちばん適した準強力粉を使用している。
【刀削麺】 専用の包丁で生地を、直接削って湯に投げ入れる中国の技法。藤沢に食べられるお店があったのだが現在は閉店のようです。
【チィージェン】 椀に入れたゆるめの生地を、箸で鍋の湯の中に削ぎ飛ばすように入れる中国の技法。
【マオアルトウ】 サイコロ状に切った生地を、指先で押しつぶすようにして延ばす中国の技法。
【麺の茹で方】 麺はたっぷりの湯をたぎらせた中で茹でるのが良いが、火力の弱い家庭では真似できない。水量が多い程、中に麺を入れた時に湯の温度が下がるのを防ぐことができるのだ。また麺を湯に投じた時、瞬間的に麺の表面が煮えた状態となると麺に余分な水分が入らず口当たりが良くなる。 ただし、麺の中心部まで充分に火を通すためには少し時間をかけたほうが良いので、ある程度沸騰させたところで差し水をした方が良い。差し水は湯の温度を下げ中心部まで熱が通るまでの時間稼ぎをするのである。中華麺はカン水を使用するので麺を茹でる事で茹で麺の釜の湯はかなり汚れたりアルカリ性が強くなったりする。 麺の表面がアルカリ性であるとヌルっとした感じがして味覚にあまり良い感じを与えない。そこで差し水をすることで少しずつ湯を入れ換えていくのである。麺を茹ででいる途中だけでなくその麺を茹で上げた後にも差し水をすると良い。
【茹で湯】 中華鍋、寸胴などに入れられた麺を茹でるための湯。白く濁ってくるので捨てて新しく換える必要があるが、逆に新しい湯だと、麺に対する刺激が強すぎるため、ある程度麺を茹でた湯を使う場合もある。また、新しい茹で釜は小麦や塩分に馴染んでいないのと麺茹でがうまくいかないため、小麦や塩を混ぜる場合もある。

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