ガラスープ素材のウンチク  和風スープ編
 和風だしを取るには、例えば、かつお節と昆布を組み合わせる方法などがとられる。これは単独でだしをとるよりも異なった材料を合わせることにより旨みが強くなるからです。科学的には、鰹だしのイノシン酸(他にグルタミン酸、コハク酸、アミノ酸を含む)と昆布だしのグルタミン酸が合わさることにより相乗効果で一層美味しくなる。ちなみに旭川ラーメンは、煮干しやアジ節のような和風だしを多く使い独特の風味と味を出す。また煮干しには、豚骨の匂いを消す働きもする。

【焼干し】
アジ、トビウオなどを焼いて干したもの。
【丸干し】 【煮干】 
ラーメンスープを取る場合によく使われる素材。イワシなどの稚魚を煮てから乾燥させたものをいう。スープには、主にマイワシやカタクチイワシを使用するがアゴ干し(トビウオ)を使うこともある。旨味の成分はイノシン酸。スープを取る際には頭とはらわたを取って出汁を取る。魚の生臭みが出るが濃厚な味のスープが取れる。イワシが多く他に、アゴ、サンマ、アジなどが使われる。
【ごまめ(カタクチイワシ)】
うま味成分のイノシン酸が多いため煮干し(イリコ・稚魚はシラス)に主に利用される。マイワシと同じようにミネラルや脳の発達に関係するDHA(ドコサヘキサエン酸)、脳の発血液の流れをよくするEPA(エイコサぺンタエン酸)、カルシウムが多く含まれており、小さいながらも栄養満点。
【アゴ】
トビウオのこと。焼き干しや煮干しにしてダシに使う。九州などで良く使われる。佐世保には「あご」でだしを取った「あごだしラーメン」があるとか。名前の由来といわれはまちまちだが、日本海側の中国地方<山陰>〜特に九州でトビウオの事を「あご」と呼んでいる。主として長崎県生月・平戸島及び五島有川湾沿岸が特産地で、長崎の平戸などでは夏の風物詩となる程トビウオ漁が盛んである。九州の日本海側〜長崎や福岡では、焼きあごでだしを取る料理は多くあり、特に「博多雑煮」は全国的に有名。また、「あご」の身を原料として作られた「あごちくわ」は、山陰地方の夏の特産品でもある。トビウオは低カロリーでありながら、タンパク質は牛肉や豚肉に匹敵する量を含む優れたダイエットフードでもある。ビタミンB2,E,カルシウム、鉄分・セレンが多く含まれており 特にセレンは抗酸化性に富むため、老化防止に効果的とされている。 マグネシウムや血液を作る銅などのミネラルなども豊富で、関節炎などに効果的。また、貧血防止・母乳分泌促進の働きがあるので妊娠中〜出産後と続けて摂取するとよい。
■あごだしのとり方
あごだしは、トビウオの頭と内臓を除去して煮た後乾燥させたもの。脂が少ないため、干したときに上品な味になり、料亭などで用いる最高のだしの材料の一つでもある。丸干しを一晩つけて、だしに使ったりもする。
@頭、尾、ひれ、骨、内臓(黒くて細長い部分)を取り除きます。あごだしの場合はそのまま。
Aほぐしたあごだしと水を入れて火にかけ、沸騰してから2分ぐらい煮出す。丸干しの場合はそのまま一晩水につける。
あごだしは、一番だしを味噌汁や麺汁に、2番だしを煮物に使ったりする。雑煮のほかに、にゅうめん・お吸い物・味噌汁などのだしにも向いている。もちろんラーメンのだしも。
【さば節】
さばを使用。通常カツオ節で行われるカビつけと天日乾燥は省略。主に削り節として使用される。サバ独得の香りを生む。香りがあっさりしていて、コクがある濃い出汁が取れる。関西うどんで良く使用される。宗田節と混ぜて使われることが多い。
【鯖(サバ)】
EPA(エイコサぺンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれる青背魚と比べても群を抜いて多く含まれているのが特徴で、がんや血液の病気を予防する。ビタミンB2、Dも豊富に含まれている。ビタミンB2は、きれいな肌と疲労回復に効果的である。ただし、鮮度が落ちるとアレルギーの原因になるヒスタミンが増えるということに注意が必要。
【かつお節】 
かつおのフィレを使用。魚介類の中では品質が高くダシに最適。イノシン酸を多く含んでいて、グルタミン酸を多く含む昆布などと合わせることにより濃厚な味が出る。
【宗太節)】  
宗太(そうだ)がつおを使用。他の節に比べて血合いの部分が多く、味が濃く色が濁るのが特徴。製造過程はかつお節と同じ。品質はかつお節に次く。
【ムロアジ】  
アジで作った節。鰹節よりもコクが強く、個性の強いダシが取れる。くさやと言えばこの「ムロアジ」である。
【本鰹】 
醤油味や塩味などのあっさりしたスープの個性を出すには欠かせないダシ。薄削りと厚削りがある。業務用としては厚削りのものをじっくり煮出して濃いダシを作る。
【鰹(カツオ)】
かつおには、鉄分や、動脈硬化、糖尿病を防ぐエイコペンタエン酸が多く含まれている。おろした上身の黒っぽい部分は「血合い」と呼ばれ、ここには鉄 分をはじめ、ビタミンA、B群などカラダを元気にする栄養が豊富。血合いが苦手という人も多いが、栄養価が高いので積極的に摂取して欲しいです。よく脂ののった色鮮やかなかつおなら、カラダにとって価値が十分ある。
【昆布】
スープやタレに使用する海藻。真昆布、利尻昆布など種類は多い。値段や産地によって差があるが、最高級品といわれている真昆布をはじめ、日高産、利尻産、羅臼産が良い。昆布には等級があり、等級の低い昆布は安価だが品質が安定せず、4等以上の昆布は品質が安定している。だしをとるには水からゆっくりと水温を上げていくと旨味成分が多く取れる。沸騰したらさっと引き上げる。これは長時間沸騰した湯の中に入れておくとアルギン酸という昆布のぬるぬるした成分が溶け出してスープがどろりとしてしまう上、海藻臭さが強く出てスープをまずくしてしまう。グルタミン酸を多量に含むため、ラーメンでなくてもスープには欠かせない素材である。昆布単体だと味がぼやけてしまうため、カツオ節などのイノシシ酸と混ぜて旨みを増す方法が良く取られる。
羅臼昆布
北海道の知床半島にある羅臼産の昆布。幅が広く肉質が柔らかい。主に和食の出汁に使われることが多く、黄色みを帯びて少し濁りやすいものの、上品な甘味のあるコクのある味になる。
利尻昆布
利尻、礼文(れぶん)の両島で取れる物を「島昆布」と言い、稚内(わっかない)等で取れる物とは別扱いされている。利尻昆布は厚みがあり硬い肉質で、出汁が上品でコクがり濁りのない出汁が取れる。出汁の他にはとろろ昆布や塩昆布、佃煮昆布などに使われる。
日高昆布
日高昆布は日高三石町の名をとって日高昆布(ひだかこんぶ)と呼ばれる。安価で家庭で良く使われる。出汁にはあまり使われず昆布巻き、佃煮昆布などに使用される。
【干し椎茸】 
旨み成分としてグアニル酸を含有し、昆布や鶏ガラのぐるたみんさんと合わせると相乗効果で良い出汁になる。スープの隠し味として使う店も多い。
【ホタテ】 
ホタテには、たんぱく質、カルシウム、ビタミン、糖質、鉄分、その他のミネラルなど、たくさんの栄養成分が含まれている。特に、タウリンを豊富に含み、血圧の正常化や動脈硬化の予防、コレステロール値低下、血糖上昇抑制のほか、視力低下、神経性の疲労回復、目の疲れからくる頭痛やめまい、肩こりを予防、改善する効果がある。また、亜鉛を含んでいるので味覚障害にも効果があると言われている。また、淡白な味のホタテはいろんな料理に最適。定番のお刺身やバター焼きはもちろん、ピリ辛ダレで中華風にしたり、酢味噌であえてもおいしい。高たんぱく、低カロリーのホタテは健康的な食材である。
【イノシン酸】
アミノ酸の一種の(動物性食品の中に自然に含まれる)旨み成分のこと。煮干しや土佐節、カツオ節などに大量に含まれている。旨味成分は単独で用いるよりも複数を組み合わせた方がより強い旨味を出すだけでなく、旨味が向上する性質がある。とりわけグルタミン酸ナトリウムとイノシン酸ナトリウムを併用すると味の相乗効果によっり旨味が大変強くなる。にぼし類は数十分水浸してからだしを取る、頭とわたを除いてから使用するなど個性が出る。
【グルタミン酸】
アミノ酸の一種の旨み成分のこと。昆布などに大量に含まれている。酸味や塩味をやわらげたり苦みを減少させる働きがあり、あっさり風味を強調できる。鶏や豚骨の骨髄にも含まれている。

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