ガラスープ素材のウンチク 鶏がらスープ編
鶏ガラでとるスープは旨味の成分であるグルタミン酸が多いというのが特徴。この成分がラーメンのスープのおいしさの基本となる。ただし鶏は、ゼラチンの元になるコラーゲンというタンパク質が少ないので長時間煮込んでも白濁しないので澄んだスープに仕上がる。鶏ガラだけでなく肉のついた丸鶏を使えば更に濁りのない甘味のある濃厚なスープがとれる。これは肉の部分に旨みの元になるタンパク質が多いことや肉の骨に近い部分にもコラーゲンが多く含まれているからである。またモミジと呼ばれる鶏の足元の部分にもコラーゲンが多く含まれている。鶏ガラは豚骨と一緒に使うことが多い。鶏ガラは豚骨とミックスするとスープに旨味が増す。豚骨、鶏ガラで取ったスープではどうしても洋風の味になりがちだ。この点が気になる店では節類、煮干し、昆布などの和風材料も使い日本人が好む味作りを心掛けている。
【鶏ガラ】 | ||||
肉の部分を取り除いた部分、つまり骨全般。澄んだスープをとるのに適している。グルタミン酸の含有量が非常に多く、これが旨みの主な成分になる。地鶏とブロイラーでは地鶏の方が骨が太く生育しておりコラーゲンも多く含まれ味が強くコクが出るのに対して、ブロイラーでは骨が細く味が薄味になる。 | ||||
【モミジ】 | ||||
鶏ガラの足の部分で、その形が「もみじ」に似ている。上品なダシが比較的早くとれ、あっさり味のスープを取るのに便利。長く煮込むとゼラチン質に変わるコラーゲンというたんぱく質を多く含み、とろりとした旨味とコクを出してくれる。なお使用する際には、爪を除くなど、充分な下処理が必要。 | ||||
【トサカ】【骨鶏冠】 | ||||
臭みが少なくゼラチン質も豊富。 | ||||
【丸鶏】 | ||||
その名の通り、丸ごとの鶏。 | ||||
【ブロイラー】 | ||||
欧米で大量飼育が可能なように品種改良された鶏の総称で、食肉用の若鶏のこと。狭い鶏舎で2ヶ月程度(55日前後)の保成飼育されている。地鶏と比べると骨髄が充分に蓄積されず運動不足で腱も発達していないのでコラーゲンも乏しい。 | ||||
【地鶏】【銘柄鶏】 | ||||
日本在来品種系の鶏。低脂肪、低カロリーで消化もいい。このヘルシーさに加え、 しっかりとした歯ごたえや旨さ(ジューシーさ)が人気である。市場にでてくる時の定義は細かく、1999年7月に、農水省によって特定JAS(日本農林規格)の対象品目に加えられ、あいまいだった定義が明確になった。品種(明治時代までに日本に入ったシャモ(軍鶏)、比内鶏、薩摩鶏、横斑(はん)プリマスロックなど38種の血が50%以上入っていること)、飼育方法(1平方メートル当たりの飼育数を10羽以下に限定)、飼料、飼育日数(80日以上)などの条件をすべてクリアしたものが『真の地鶏』といわれている。近年は外国産の高級な鶏でもこう呼ばれる。日本では、1970年代にブロイラーが急速に普及したことにより各地の地鶏は大打撃を受けた。消費者の要望を背景にして、奈良県畜産試験場が1974年から5年がかりで品種改良し、地鶏ブームの火付け役ともなったのが大和肉鶏(やまとにくどり)だ。 100%の純血種の名古屋コーチンと、肉質が最高とされるシャモ、卵をよく産む米国産のニューハンプシャーをかけあわせた。 | ||||
【軍鶏】 | ||||
日本古来種ではなく、江戸時代にシャム(タイ国)から伝わったものが転じてシャモと呼ばれるようになったものと言われている。もともとは黄鶏の一種でキジ科に属する。 タイ原産で、「軍鶏」と書くように闘鶏用ニワトリであるため、気性が荒く、群れで飼うのは難しい種といわれる。だが、肉、卵ともに味がよい。しゃもは第二次世界大戦中に国の天然記念物に指定されているが、それは、食糧難の時代にしゃもが食糧とされないよう国策として守るためであったとされている。 現在、シャモ肉が市場にない訳ではないが、ほとんどは、〜シャモと名付けられている。鶏との交配種で、シャモ本来の旨さはない。(ブロイラーにシャモを交配させ闘争本能の無くなったF1を種雄としてブロイラーにふたたび交配させ、約90日間飼育し、市場に出荷されているのが、現在の〜シャモと名付けられた鶏肉である。したがって、シャモ本来の歯ざわり、低脂肪でしっかりした肉質の旨さはほとんど消えブロイラーに近い肉質になっていると指摘されている。純粋種の飼育は、全国的に闘鶏として飼育されている、闘鶏として強い系統が他所に流れるのを嫌ってほとんど食肉として一般には出回らない。 |